虹のかなたに

たぶんぼやきがほとんどですm(__)m

2012-01-01から1年間の記事一覧

第45回 散り際の美学

紅白歌合戦を最後まで視聴して、蛍の光の合唱に今年の穢れを濯ぎ、そして23時45分に、それまでの喧騒が一転、『ゆく年くる年』の除夜の鐘を静寂の中に聴く、あの落差が堪らないのであり、ここへ来て漸く、1年の終わりを実感するのである。 1年の終わりと言え…

第44回 美人薄命

大河ドラマ『平清盛』が、史上最低視聴率の記録を打ち立てて最終回を迎えた。勤務先で、私を含む大河フリーク3人が集まり、何故かかる低視聴率に喘いだのかを議論した(仕事せえよと)。「少なくとも、昨年の『ファンタジー大河』よりは10倍以上面白い骨太作…

第43回 聖なる夜に

今年のクリスマス・イブは三連休の末日、天皇誕生日の振替休日である。私は「三連休は三連勤」であるから世の人々の喧騒とは全く無縁に生きているのだが、昨日は会社の前の御堂筋を、「天皇陛下万歳」を連呼する街宣車が取っ替え引っ替えのろのろと走り抜け…

第42回 なつかしき未来

JR東海が、山梨県都留(つる)市のリニア実験線車両基地で、リニアモーターカーの新型車両「L0系」を公開した。未来がまた一つ現実味を帯びてきたと感ずるニュースではあるが、幼い頃、「東京・大阪間が1時間で結ばれる」と吹聴されたリニア中央新幹線の全線…

第41回 平成デモクラシー

京阪電車のイメージキャラクターである「おけいはん」がこの度代替わりし、一般公募により選ばれた大学生が5代目の座を射止めた。 初代が「淀屋けい子」、2代目が「京橋けい子」、3代目がなぜか「森小路けい子」、そして4代目が「楠葉(誤記ではない。駅名は…

第40回 テレビのツボ

先般、桑名正博が死去し、その悲しみも乾かぬ間に今度は藤本義一の訃報である。「お笑いの大阪」とは言われるが、こういうダンディズム溢れる文化人だって大阪にはいるのであって、その意味においても、またしても惜しい人を亡くしてしまった。心よりご冥福…

第39回 スマッホ×スマッホ

勤務先の喫煙所にいつも屯(たむろ)している社外の人間がいる。最近は、ビル内は完全禁煙で締め出されるとか、御堂筋で喫煙したら罰金を取られるとか、確かに愛煙家には世知辛い世の中であるから、こういう喫煙所を「都会のオアシス」よろしく見つけて一服…

第38回 待ち人来たらず

残業帰りの23時台の地下鉄御堂筋線で、聞き捨てならぬ会話を耳にした。喋り方から察するに関東の人ではないかと思うが、大阪駅周辺の百貨店のインフレ状態に対する批判である。先週の10月25日に阪急百貨店の二期棟がオープンし、足掛け7年に亙って工事をして…

第37回 仰げば尊し

10月から、土曜の深夜に、長澤まさみ主演の『高校入試』というドラマをやっているが、これが実に面白い。3話が終わったところでまだ佳境にも何にも入っていないが、それでも面白い。「高校入試なんて、ぶっつぶしてやる」のキャッチコピーで、県下随一の名門…

第36回 内憂外患

例の問題で「領有権」や「実効支配」などを新たな語彙として増やされた方は結構おられるのではないかと拝察する。第32回でも同じ趣旨のことを述べたが、利害関係で争うことほど虚無を覚えることはないので、何とか決着と解決を図ってほしいと願う。ただ、国…

第35回 ひとりぐらし・ふたりぐらし

若者なら誰しも、という訳でもないだろうが、例えば高校生が進学先を選ぶ際に、「地元から出る」ことありきで考える者は少なくないのではなかろうかと思う。「都会への憧れ」というのも多分にあるであろうが、それ以上に「一人暮らしをしたいから」という者…

第34回 あいまいミーマイン

堺市で、だんじりの練習を休んだ高校生を監禁し、重傷を負わせて財布を奪ったとして、男5人が逮捕されたという。何でも、この高校生がしばかれて閉じ込められてカツアゲされたのは1年も前の話だとか。今頃になって逮捕されるのもどうかと思うが、よりによっ…

第33回 デパートははるかかなたへ

先日、梅田の阪神百貨店前を歩いていたときのことである。「阪神百貨店と言えば婦人服とデパ地下」と言われるだけのことはあって、地下の食料品売り場は、外の地下街にまで行列が延びるほどの人気店も多い。その行列の中に、1組のカップルがいた。列に並ぶこ…

第32回 平和への希求

先日、26年前まで暮らしていた岡山市の郊外にある西大寺という街を訪れ、最後の1年間だけ通った中学校の同窓会に参加した。きっかけは、第28回でも記した、当時の同級生との運命的な(?)再会であった。 とは申せ、たった1年間しか通っていなかったのだから…

第31回 きらきらひかる

人知れずゴーストライターの如くに書き散らしている拙文であるから、自らの実名を名乗るのは大いに憚られるのであるが、私の名前は「直木」という。今も昔も大層珍しがられる。そして、必ず由来を尋ねられる。大抵の人は、直木三十五、つまり「直木賞」を想…

第30回 紫煙哀歌

勤務先のビルには共用の喫煙ルームがある。愛煙家には誠にありがたい施設ではあるが、如何せん、換気扇以外の空調設備は一切備わっていないので、この時期は正に灼熱地獄である。異様なまでに人の目を気にする私は、仕事を疎かにしているように見られるのが…

第29回 略語に関する浅い考察

「大阪人は『いらち』だから、何でもことばを略したがる」と言われることがあるが、これには少しく異議を唱えたい。携帯電話を「ケータイ」と言うのも、あけましておめでとうございます今年もよろしくお願い申し上げますを「あけおめことよろ」と記すのも、…

第28回 恩讐の彼方に

先日、たまたまアメブロの新着記事か何かで目にした記事が面白かったので、「ペタ」をつけた。すると程なく、この方からメッセージが届いた。大阪暮らしと岡山暮らしという共通項があったということで意気投合(?)し、見も知らぬ人とのネット上のやり取り…

第27回 あの街に住みたい

しばしば雑誌などで、「住みたい街ランキング」という特集が組まれる。毎年連綿と続けられているものだから、不動の人気テーマの1つなのだろう。リクルートの住宅情報サイト『SUUMO』の、「2012年版・住みたい街ランキング(関西編)」によると、「1位:芦屋…

第26回 星に願いを

今宵は七夕である。しかし、空を見上げても、厚い雲が垂れ込めるばかりである。 独身時代に住んでいた天満のマンションの前には大川(旧淀川)が流れ、そこに架かる源八橋という橋を渡ると、「桜ノ宮」という、大阪随一の、大人の男女の社交場がある。例年、…

第25回 せんせいあのね

例えば、電車に乗っていて、別に誰でもよいのだが、まあ、前田敦子によく似た人がいたとしよう。思わずTwitterで「電車なう。今、前田敦子そっくりの女子高生が乗ってきた! かわいいww #前田敦子」とつぶやいてみる。ハッシュタグをクリックすると、同じこ…

第24回 夢十夜(二)

九州の起点、門司の発車は5時01分である。大阪を2時間以上も後に出た、同じ長崎行きの特急「あかつき2号」が、門司発車の時点で8分後にまで迫り、博多到着に至ってはこちらより4分早い。すなわち門司~博多間のどこかで「あかつき2号」に追い抜かれるのだが…

第23回 夢十夜(一)

手元に、1975年3月の時刻表がある。当然、JRではなく国鉄の時代であり、山陽新幹線の岡山~博多間が開業したときの号である。読み物としてこれほど面白いものはない。時刻表や地図を「読む」という変わった趣味を持つ私であるが、時刻表を開いて「旅の空想」…

第22回 言わぬが花

世の中には、浮世のありとあらゆるものが気に入らないと見えて、方々でクレームを宣う者がいる。これを一般には「クレーマー」と呼び、学校を始めとする教育機関や教育産業の世界においては「モンスターペアレント」という特別な呼称までもが付与される始末…

第21回 タメ口考現学

一時流行った「おばかキャラ」は、そう呼ばれていた人たちが歳を取って落ち着いてきた所為か、はたまたこれらの人たちを世に売り出した大物芸能人が引退してしまったからか、少々形(なり)を潜めてきたように感じる。 代わって台頭してきているのが「タメ口…

第20回 鳥啼き犬の目は泪

山梨県で、90歳の女性が、散歩中の土佐犬に首を噛まれて死亡するという、世にも恐ろしい事件があった。新聞記事によると、飼い主が紐を付けて散歩させていたところ首輪が抜け、別の男性と立ち話をしていたこの女性に襲いかかったという。飼い主の男性には過…

第19回 空気人形

仕事柄(今度こそは本当に仕事柄)、社外の人に会う機会が多い。弊社は業態の特性上、全国各地に事業所が多店舗展開され、1つの拠点にいる社員は多くてもせいぜい10名程度であって、その全員が一堂に会する機会はそうそうないものであるから、現業にいるとき…

第18回 故郷は遠きにありて思ふもの

室生犀星に『小景異情』という作品がある。故郷に対する愛憎相半ばする想いを詠った抒情詩であるが、「ひとり都のゆふぐれに/ふるさとおもひ涙ぐむ/そのこころもて遠きみやこにかへらばや/遠きみやこにかへらばや」に表される静かな激情は胸に迫るものが…

第17回 おもひでぼろぼろ

もう20年くらい前の作品で恐縮であるが、原田宗典のエッセイ集に『十七歳だった!』というのがある。氏のエッセイは軽妙な独特の筆致が好きで一時はよく読んでいたものであり、私が自身の駄文において「……なのだった」という文末表現を好んで用いるのは恐ら…

第16回 それは先生

前回、「先生への憧れ」について述べたが、現実はそう甘いものではないらしく、私が現業でマネージャーをやっていたときに働いてくれていた当時の学生バイト君たちのうち、結構な数がその後教職に就いたのだが、その約半数が既に退職した。「君たちに俺のか…