虹のかなたに

たぶんぼやきがほとんどですm(__)m

2013-01-01から1年間の記事一覧

第77回 「ゆとり」の矜持

『リーガル・ハイ2』が先日フィナーレを迎えた。最終回の視聴率は18.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、同じ堺雅人が主演の『半沢直樹』のそれが40%を超えたことを思うと敗北感がなくもないのだが、個人的な面白さは本作の方が明らかに、「倍返し」な…

第76回 地方のアイデンティティ

2015年春に開業予定の、北陸新幹線の長野~金沢間について、6月に途中駅の駅名が、そして先頃10月には列車名が、それぞれ発表された。北陸新幹線の基本計画が決定されたのは1970年のことであるから、星霜ここに45年、漸く名実ともに北陸の地まで新幹線が走る…

第75回 いただきます

連続テレビ小説『ごちそうさん』の視聴率が、10月16日の放送で27.3%を記録し、前作『あまちゃん』の最高視聴率をやすやすと超えた。あまロス患者としては、別に『ごちそうさん』に対して対抗意識を燃やしている訳でもなく、“朝ドラの王道”を行く本作の面目…

第74回 「あまロス」を乗り越えて

朝の起床のモチベーションであった、連続テレビ小説『あまちゃん』が終わって、間もなく1か月が経つ。この喪失感を「あまちゃんロス症候群」、略して「あまロス」というのだそうだが、正に私は、重度のあまロスである。 抱腹絶倒、クドカンワールド満開の作…

第73回 四十にして惑いまくり

私事で恐縮であるが、9月14日で40歳になった。「四十而不惑」と言ったのは孔子であるが、誕生日が来たからと言って急に落ち着きが生まれる訳もなく、相変わらず惑ってばかりである。尤も、孔子自身も、政治の世界に打って出たのは40歳を過ぎてからであり、50…

第72回 夏の忘れ物(一)

一雨降って、すっかり秋の風を感じるようになった。出勤するだけで滝の如き汗をかくということがなくなったのはありがたいが、一方で、夏の終わりを実感し、そこはかとない淋しさに襲われるのである。昨今の学校では8月中に始業式を行うところも増えてきてお…

第71回 誰がために鐘は鳴る

大河ドラマ『八重の桜』も、前半のサミットである会津戦争を終え、後半の京都編へと進んでいる。そのサミットで描かれる数々の悲劇――白虎隊然り、娘子隊然り、それらの最期において「号泣する準備はできていた」のだが、それがどうしたことか、極めてあっさ…

第70回 鬼の目にも涙

「怖い人」と言われる人がいる。何を以て怖いとするかは様々であって、近寄り難いオーラや威厳を放つ人も怖ければ、癇癪持ちでしょっちゅうキレている人も怖いし、暴れたり大声を上げたりする狂気染みた人も、常に策略を巡らせていて何を考えているか分から…

第69回 男が喋りで何が悪い

「喋らない若者」が増えているという。『話し方マニュアル』のような本が軒並みベストセラーになるのも、そうした世相を色濃く反映したものなのだそうだ。私などは「黙っていたら死ぬ」人間なので、喋らないで1日を過ごすというのが一体どういうものなのか想…

第68回 人の話は最後まで聞く

神戸新聞のFacebookページに「てっぱん」というシリーズがある。鉄道ファンの社会部記者が、関西の鉄道にまつわるあれこれを綴るものだが、これがなかなかに面白い。 その中に、「車内放送・余話」という記事があった。東京から神戸に転勤してきた記者の知人…

第67回 防人の詩

大阪の京橋駅周辺では、昼夜を問わず、見知らぬ人に声を掛けて回る人間がそこかしこに蠢いている。ティッシュの配付や何かのアンケートを行う人間は、JRから京阪電車までのあの僅か数10メートルの間に複数立っているし、「献血にご協力をお願いしまーす!」…

第66回 まだまだあまちゃんです

目下の早起きのモチベーションは、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』である。弊社は午前10時始業なので、普段なら8時50分に起床、9時20分に家を出て、9時50分くらいに打刻、という流れだが、『あまちゃん』のおかげで起床は1時間繰り上がり、あのオープニン…

第65回 月曜日よりの使者

「サザエさん症候群」ということばがある。日曜夕方の『サザエさん』を見終わると、休日の終わりを自覚し、翌日を思って憂鬱になることを言う。中には本当に倦怠感や体調不良を訴えて出勤できないケースもあり、もとより正式な病名ではないが、軽度の鬱病で…

第64回 我ら団塊ジュニアの世代

我々が学生の頃は――と言っても腐った学生であったからロクな勉強はしていないが――論文を書くというのはそれはもう大変なことで、図書館に籠城してはさまざまな文献を読み、それを論拠として自説を組み立てねばならなかった。その文献も、それ自体の権威や、…

第63回 耳にタコとイカと舞昆が

一昨年から、不定期ではあるが、地下鉄御堂筋線のなかもずまで通うことが増えてきた。私の最寄り駅は東三国であるから、この間約40分。御堂筋線は千里中央からなかもずまでと思われる向きが多いようだが、路線図をよく見ると、江坂から先には「北大阪急行線…

第62回 素顔のままで

女性芸能人が自身のすっぴんをブログで公開したと、一々ネットのニュースで取り上げられるのには、大概食傷気味である。芸能人の結婚報道で、都度妊娠の有無を明記せねばならないというのもどうかと思うのに、なぜ素顔を晒したくらいでそんな大騒ぎになるの…

第61回 愛の鞭(二)

前回(一)で、悪いことをしたらきちんと罰を与えなければならない、世の中に子どもを出す前に、社会の正義の何たるかを教え込んでおかねばならないという話をした。その「罰」の方法にはいろいろあるが、「口で言って分からない」者にはどうしたらよいであ…

第60回 愛の鞭(一)

最近、ニュースを賑わせているのは、USJでの大学生たちの迷惑行為である。ネットって怖いよなあと思うのは、例えば、その大学名を検索するだけで、この狼藉者の名前が候補に表示されるし、それをクリックすれば、当人はおろかその彼女の氏名や経歴や顔写真ま…

第59回 フレッシャーズ賛歌

4月になり、学校や企業では新年度がスタートした。昨日の朝も出勤時に、自宅近くの中学校で入学式の準備が行われているのを見て、全く無関係の部外者であるこちらの心まで晴れやかになった。 勤務先でも、新卒入社のフレッシャーズを迎え、私の管掌する部門…

第58回 だれにもいわない

今日は4月1日、エイプリルフールである。例えば「長嶋・松井両氏に国民栄誉賞」という記事を見ても、これもまた嘘ではないかと訝ってしまうのだから、どうもよろしくない。 昔、ある友人のもとに元カノがやってきて、抱いている子どもを指して「あなたの子ど…

第57回 線路は続くよどこまでも

お江戸の方では、東京メトロ副都心線を介した東急・東武・西武などの相互直通運転開始で喧(かまびす)しいようである。東横線の渋谷駅がなくなるのは、関西で言えば、「日本一の私鉄ターミナル」と謳われる阪急梅田駅の威容が、御堂筋線と直通を始めるため…

第56回 第2ボタンとサイン帖

またしても卒業にまつわる話で恐縮だが、三月ということでご寛恕願いたい。 さて、「卒業ソング」の定番と言えば何であろうか。昨今の歌謡曲にはとんと疎いのだが、レミオロメンの『3月9日』とか、いきものがかりの『YELL』『歩いていこう』とかなら思い浮か…

第55回 コンビニララバイ

「夜は眠るものである」と誰かが言ったのであるが、近年では、都市部はおろか、郊外や人気の少ない田舎でさえ、ロードサイドには様々な24時間営業の店舗が煌々と灯りを点しており、「眠らない人」の需要を満たしている。その嚆矢と言えるのが、おそらくコン…

第54回 早春賦

弥生三月。世間ではそろそろ卒業式シーズンである。この時期になると毎年、YouTubeなどに上げられる各地の卒業式の動画を見ながら、一人感傷に浸るという何とも根暗なことをやっている。とりわけ卒業生退場のシーンなどは最も感極まるクライマックスであって…

第53回 万博ノスタルジア

大阪の京橋駅の、JRと京阪電車の間の乗り換えコンコースというか広場みたいなところには、いつからか塵取りが置かれ、灰皿として利用されている。JRのホームは完全禁煙、京阪電車も京都方面のホームの端に喫煙ルームがあるのみで、電車に乗る前に一服しよう…

第52回 間違いだらけの運転免許

時は受験シーズン真っ只中である。私は地方の田舎で育ったので、中学受験などは全くの無関係に生きてきたし、高校受験も塾なんてものには一切通わず、大して緊張することもなく過ごしたので、至って悠長なものであった。ただ、そんな次第で入学してしまった…

第51回 空気を読む

地下鉄御堂筋線の中程6号車は、平日の終日、女性専用車両に設定されている。女性専用車両の是非を巡ってはさまざまな議論があるが、ここではそれに触れない。御堂筋線の場合、当該車両にはキユーピー(「キューピー」ではない)とかAIDEMとかパチンコのマル…

第50回 それぞれの場所

そろそろそのシーズンだと思っていたら、どうも最近の小学校では「学芸会」というものをやらないところが多いらしい。私の通った小学校では「学習発表会」という名前であったが、文字通りに、1年間の学習成果を保護者の前で発表する晴れ舞台であり、相当な時…

第49回 おとなになっても(二)

前々回、おとなになったら、いつまでも思春期よろしく我儘な自己主張ばかりやっていないで、少しは人との関わりというものを意識して物を言ったらどうだという、つまらない繰り言を述べてしまったが、そうは言いながらその実、「小さい太郎」の気持ちとて分…

第48回 忘れじこの日

あの日。私は大学2回生だった。 2年前まであんなに必死に勉強というものをしていたのは幻だったのかと思えるくらい「学生の本分」を放棄していた私は、しかし学年末を控えて流石に尻に火が点き、ワープロに向かって課題と格闘していた。「国語科教育法」とい…