第7回 バイプレーヤー
黄金週間などと言うのはよいが、することもなく時間を持て余すばかりの休日は果たして「黄金」であろうか。そもそも「週間」などと言いつつ、実際の休日は1週に満たない4日間である。
することがなければテレビは最高の味方である。レギュラーで見たことのないドラマの再放送をやってくれるのは願ってもない僥倖というものである。
80~90年代のテレビドラマに一種のオマージュさえ捧げたい者の立場からすれば、昨今のドラマは大して惹かれるものがないと思い込んでいたのだが、それを覆されたのは『花より男子』である。
若手は名実共に若手「俳優」であった。アイドル崩れの代物などではない。眼の力が違う。主演の井上真央はさることながら、三条桜子役の佐藤めぐみが良い。前クールの朝ドラ『ちりとてちん』で注目してはいたが、こんなところに出ていたのか。
主人公の母親を演じる石野真子が素晴らしい。コミカルな役回りに笑わせられてばかりと思いきや、松本潤演じる道明寺司の母親役加賀まりこと対峙するシーンは秀逸だった。娘を愚弄した大財閥の社長を相手に、食塩を頭からかけて啖呵を切る姿は、子を思う親の心情がよく表現されていて胸に迫るものがあった。
石野真子といい、『ちりとてちん』の和久井映見といい、『瞳』の飯島直子といい、この世代が母親役をやるようになったのかと思うと、それもまた感慨深い話である。
テレビドラマの醍醐味は、こうしたバイプレーヤーの存在感にあると言えよう。数年前の大河ドラマ『新撰組!』の佐藤浩市のように主役を食ってしまっては元も子もないが、『瞳』の西田敏行、前田吟、近藤正臣、菅井きんや、『篤姫』の高橋英樹、長塚京三、樋口可南子、松坂慶子、平幹二朗、余貴美子など、その演技の中に、若手俳優の成長を温かく見守る眼差しを見て取れる助演者こそ、ドラマの重みであり、深みと言えるだろう。